漢方診療

漢方とは

漢方とは、生薬を用いる日本の伝統医学のことで、江戸時代末期に日本に伝わった西洋医学である蘭方と区別するためにできた名称です。もともとは中国で生まれた医学ですが、日本で独自の発展を遂げたため、現在の中国の医学である中医学とも区別されます。

漢方とは

漢方医学の再評価

漢方薬に健康保険が使えるようになったこともあって、漢方治療を求める患者さんが増えています。現代薬理学的にも漢方薬の有効性が証明されつつあり、ますます今後の研究に期待されるところですが、あらためて先人の知恵に感心するとともに感謝する次第です。

漢方薬が即効性?

診療に漢方薬を使い始めて私が一番実感していることは、風邪には漢方薬が効く、ということです。葛根湯だけではなく、麻黄湯・桂枝湯・麻黄附子細辛湯・参蘇飲など、風邪に適した何種類もの漢方薬の中から患者さんに合う薬を選んで処方します。西洋薬のように眠くなることもほとんどありません。「漢方薬は長期間服用しないと効かないのでは?」と聞かれることがありますが、花粉症で鼻水がひどいときなどは、服用後から短時間で効果が表れることもあります。

慢性疾患での服用は?

高血圧、糖尿病、高脂血症、認知症、フレイルなど、高齢化に伴い、一人でいくつもの疾患を抱えている患者さんが増えてきました。何種類もの薬を飲んでいる人も珍しくありません。西洋薬で副作用が出やすい患者さんや、虚弱で西洋医学的治療に耐え切れない患者さんなどには、漢方治療を提案しています。このような場合は2週間から4週間は服用してみて効果を見る必要があります。効果があればしばらく続けることが多いですし、効果がなければ薬を替えることもあります。体質改善の治療の場合などは、一年、二年と薬の服用を続けなければならないこともあります。

*フレイル:健康な状態から要介護へ移行する中間段階で、筋力や活動が低下している状態

西洋薬との併用

現代医学に欠けている所を漢方医学で補いながら、より良い医療を目指していく。これが当クリニックの方針です。例えば、急性気管支炎の場合は漢方薬と抗生剤を処方することが多いですし、慢性疾患でも高血圧症はいわゆる西洋薬でないと十分な降圧効果は得られません。お互いの良いところを用いる、西洋薬と漢方薬の併用で診療しています。